山口県から来た患者さん。
3人で車に乗って来て、途中で一泊し
「どういう関係なの?」と聞いたら
「弟が運転して、義理の弟も一緒にきました。」
「疲れたでしょう?どこが悪いの?」
「18歳の時にスキーで転んで、両手足がしびれちゃって、今55歳になりますが、去年の12月手の痺れがひどいので、病院に行ったら『これはひどくなったら大変だから、手術しましょう。』首の骨を手術しました。
ところが、良くなると思ったら左の腕と足、特に足に力がなくなっちゃって杖になっちゃって、将来が不安になっちゃって参りました。」
「そうだよね、手術しないともっと悪くなると言われたら、手術するよね。しかし力がなくなっちゃったっていうのは酷いね。」
院長は脈を取ったり、手足の気の流れを調べたり、最後には頚椎を鍼で修理しないと治らないだろう、と思いながら、もしかして経絡の気の通りが良い人は、普通のツボ療法で少し改善するかも。と思いながらしかし変化は無い。
やっぱり頚椎。頚椎の4.5を中心に修理。
院長は治療しながら
”お医者さんは思ったような手術をやったんだろうな。
だけどこの人、非常に気の巡りの良い体。
こういう人は手術すると後遺症が残るんだよね。
もともと自然の生命力の強い人なんだよ。だから薬とか手術に弱いんだよな。”
55年の院長の経験。
頚椎の修理後、少し歩いてもらう。
「左足はちょっと軽くなったような感じがします。」
「明日、明後日とまた予約が入っているよね?
結局のところこれ、少し時間はかかると思うけど回復すると思うよ。将来不安だもんね。今55歳だもんね。
仕事もできないし、ちょっとずつ、ちょっとずつだけど良くなるよ。」
その院長の言葉にポロポロ涙を流していた。
付き添いの2人も長い道中疲れきったのだろう。待合室でぐったり。
こんな思いで六本木までたどり着く患者さんが沢山おいでになる。
「治して初めて鍼治療。理屈なんか言ってられない。きた患者さんを命懸けで治す。
長い臨床をしていると、理屈抜きに治してあげたい!と言う思いが日に日に強くなる。」と院長は言っていました。
