後輩の鍼灸師が「今までの55年の治療の中で印象に残る治療は何かありますか?」
川井院長「59歳の時、縁があって鍼治療でパリに行った時の話。
この方はパリでは誰でも知っている超有名な方で45年も不眠症で悩んでいるとのこと。
ちょっとその話をしてみましょう。
通訳を交えて「鍼治療はやったことがありますか?」
「つい2週間前にロシア人の鍼師の先生に3回程、不眠症の治療をやってもらいました。」
「効果はありましたか?」
「45年、全然眠れません。お薬で寝ています。」
脈をとりながら”あぁこの方は超有名な方なのに穏やかな性格の方だな。色んな鍼をやったけどねむれない。
普通の鍼治療ではダメだ。”
脈をみながらそんな事を考え『究極の治療をやってみよう!』
それが腰の仙骨と腸骨を結んだ仙腸関節。
これは一年前に産経新聞に、不眠症、糖尿に効く鍼治療!と私の鍼治療が紹介されたことがある。
脈をみて、手足に鍼を打った後、すぐうつぶせになり仙腸関節に数十本の鍼を打ちながら、通訳に「我慢できますか?」
「全然大丈夫。」
よっぽど脳が緊張しているんだな。是が非でもこの人を眠れるようにさせなくちゃ!
自分でもすごい気迫、エネルギー、全部出したな。そんな感じで悔いのない治療を行った。鍼を抜いた後通訳に聞くとこの患者さん「ブラボー!」と3回くらい叫んで「あなたと写真を撮りたい!」しっかり写真に収まり、次の日の結果が楽しみだな。次の日の朝『よく眠れたブラボー』と叫んでいたとのこと。
いやー私もパリに行った甲斐があった。
これで効果がなかったと言われたらパリに来た意味がなかった。私にとって生涯で1番の勝負の鍼治療だった。こんな鍼治療はこれからもないと思う。」

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