本当に昔の話
今、鹿児島に住んでいる、若い頃の鍼灸学校の同級生。久しぶりに、電話で話す。
「鍼灸学校の同級生と縁あって結婚したんだけど一年前に亡くなったんだよ。川井君も知っているでしょ?」
「もちろん。確かお婿さんにいったんだよね。」
「何しろ鹿児島は自然豊かで楽しいんだけど、実のところ寂しいんだよね。東京の国分寺に戻りたいな。」
「そういえば、あなた国分寺で柔道、空手道場の師範代理してたよね?」
あの頃私(院長)が19歳。同級生が26歳。すごく気があったのでよく柔道、空手道場に行ってお兄さんご夫妻にご馳走になったり、柔道の練習をしていた。
ある時学校の帰り、すごい寒空の中で、土俵を見つけた。
「こんなところでお相撲やってる人がいるんだね。ちょっと相撲でもやってみるか!
近くの人がきっと廻しを貸してくれるよ!」と私(院長)。
寒風のさなか、裸で十番勝負。
相手は柔道、空手の師範。
「相撲は柔道とは違うよ。」土俵から押し出し、吊り出し。土俵の中で投げる。
そんな若い頃の懐かしい話を80近くになったその同級生と大笑いしながら
「川井君はお酒を飲むと『すぐ相撲やろう』相撲取りを見つけると『おーい!相撲やろう』と逃げる相撲取りを追いかけて、普通の若者は女の子を追いかけるのに。
あなたは昔から違ったね、普通じゃなかったな。だから勝新太郎さんみたいな人から相撲を取ろうと電話がかかるんだよね。」
そんなことを言いながらまた大笑い。
同級生「あなたの人生は好きなように生きてきたんじゃない?
俺みたいに好きな女性を追いかけて鹿児島。女房が死んでなんと寂しいこと。
今日は川井くんの豪放磊落(ごうほうらいらく)な生き方を聞いて、腹の底から笑って元気をもらったよ。
また東京に行って杯を酌み交わして、もう相撲やろうと言う気持ちにはなれないけど、若い時の事を思い出したいなぁ。」
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