若い鍼灸師の質問
「院長は経絡治療の脈診についてどう考えていますか?」
『脈診はすごく重要視しているけど、脈にとらわれて治療を行なっている人は痛みの治療に弱いよね。昨日もギックリ腰でやっと治療室にやってきた患者さんが居たけど、脈診脈診言ってる人はそんな患者さんを治せないんだよね。脈は”心臓の状態はどうかな?“”精神状態はどうかな?“”血圧はどうかな?“そんな脈状を私は重要視している。
昔、脈診の大御所が私の脈を診て、「これこそ肝実(かんじつ)だ」
何しろ50数年もやって思うのは、人間てのはどんなに極めても思い込みが入ってしまうんだね。何しろ脈は必ず診るけど、鍼に来る8割の人は痛み。病院に行っても治らない、痛みをとってほしい。だから脈診脈診言ってばかりいないで、全てのどんな患者さんでも治せる臨機応変の治療を覚えた方がいいんじゃないの?私が教わった大先生はみんな椎間板ヘルニアからくる手足の痛み、変形性の膝関節炎、そういうのに弱かったな。「それは整形の分野だね」と言う。なんでも引き受けるのが本当の鍼治療じゃないかな。鍼はどこ行っても治らない人の為にある治療法なんだから』

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