鍼師Y「鍼師はこんなに細い鍼を打つんですから器用じゃないとダメですよね?」
川井院長「手先が器用な人はだめだよ。」
患者さんが「先生首と肩が凝って凝って。もう大変なんです」
鍼師K君「ここが凝りますか?」
「はいそこです。鍼がずーんと響いて、先生の鍼は痛くなくて心地いいですね。気持ちいいですね。これからもずっとお願いします。」
患者さんは鍼通ばっかり。
手先が器用なもんだから心地よいところに手が届き、患者さん大満足。
そんな日々が10年も続いたある時「先生、膝が痛くてもう歩けないんです。病院に行ったら変形性ひざ関節症って言われて。
こんなのも簡単に治せますよね?」
そんな時友達のK君。
そういえば『患者さんが腰のここが凝って凝って』と言ったときに患者さんの言いなりになってそこばっかりに鍼を打ってきたので
「変形した膝はダメですよ。整形で手術でもしてください。」
これをきっかけに器用だ!上手だ!と言われたK君、頭をかかえて「治すと言うことと患者さんに重宝されて気持ち良いと言われることは違うんだなぁ。」
ああそういえば、私が紹介したYくん。
「手先が器用だからあなた鍼師に向いているよ!」
あの人どうなってるかなぁ。
鍼は器用で心地よいところに刺すのでは無いのです。治すことなんだ!と目覚めたK君。
もう一度行列ができる鍼灸院に修行しなおし。
「料理でも他の芸術でも、やっぱり積み重ねた手の技じゃないのかな。」とうちの院長は常に言っています。

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