「色んな患者さんが来ている中で、勝新太郎さんが来た時の思い出を教えてください」
『勝さんが治療室に入ってきて、
「ずいぶんスタッフが居るんだねぇ。ちょっと待ってて」
と急にそのまままた外に出て行ってしまいました。20分後に戻ってくると、ショートケーキをたくさん買って、院長に
「これ、みんなに食べさせてね」
そして治療室で初めての鍼治療なので少し緊張気味。
「おれ寒がりなんで、ガウンかなにかある?」
女性用の治療着を着てもらうとやけに気に入った様子。
「一度ソファでタバコ吸わせて」
そして私院長に
「この治療着、フランスの囚人服に似ているよ」
院長大笑い
『勝さんフランスでもお入りになってましたか』
勝さんも大笑い。「冗談だよ」とそんな会話でずっと院長を笑わせ、いつ治療が始まるかどうか。とうとうほとんど治療が終わらぬ様子で院長と喋りまくる。その途中、また勝さんは自分の弟子に電話をかけ始め、院長に
「何時ころ夕食にするの?」
『いや、治療が全部終わってからだから気にしないでください』
そうすると人数を確かめた勝さんは電話で弟子に
「焼き肉弁当を人数分買ってきてやってくれ」
鍼治療に来たのか気を使いに来たのか、院長を笑わせ
「今日は帰るねー。また来るから!」
きっと私が21歳の頃からホテルに往診を頼まれていたので、一回治療室を観てみたいなとそんな軽い気持ちで訪れたのかな。実にスケールの大きい面白い人でした。』
